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私は闇の世界にいる。
光に憧れたりなんかしない。光を見ようとなんてしない。私はこの命続く限り闇の世界で生きる。
だって、私の居場所は此処だもの。
Dunkelheit und Licht
光への階段
ある地域の、ある廃墟内。其処に集う幾人かの人間。大男からナイスバディな女まで。見かけは様々。そして、全員の前に立つ一人の男。その横に寄り添う様に男に付いているのは肩くらいまでのストレートの漆黒の髪に、赤い瞳の女。
「全員、ご苦労だった。今日はこれで解散」
男、クロロ=ルシルフルのその言葉に、幻影旅団のメンバーは各々の行動を取り始めた。クロロの言葉の次には彼の隣にいた彼の恋人、レナが『皆お疲れ様ー』と笑顔で言う。それを聞きながら、自室に戻る者もいれば、積み上げられている瓦礫の上に行き、本を読み始める者、刀を磨く者、さまざまだ。その中でも一際大きな声を出す少女。と言っても、周りの者達がさほど大声を出さないので、大きく聞こえるだけかもしれないが。
「つっかれたー。てか眠いー…」
体全体で伸びををして欠伸をする少女。腰下辺りくらいまでの銀髪に、赤い瞳。右耳には赤い薔薇のピアス。そんな少女に声を掛けるのは、親友のレナ。あはは、と笑いながら少女の所まで来た。
「ミシャ最近その言葉ばっかり」
「だってさー、最近"マロン"としての仕事多いんだもん。レナは眠くない訳?」
「クロロの愛があるから」
「……さよですか」
にっこりと笑って返すレナにげんなりと返す。この少女の名を、ミシャ=ヴィアス。ミシャが言う、『"マロン"としての仕事』それは、ミシャとレナ。二人で行っている情報屋のコードネームだったりする。世間一般にはマロンは一人、として通っているが、実のところ、二人で行っているのだ。勿論、世間一般と言っても裏世界の一般だが。
"情報屋マロン"――通り名は"夜叉"。
どんな手段を使ってでも、情報を手に入れてくるその非道さと残酷さから付けられた通り名。
マロンとしての二人の担当は、レナが分析担当。つまりは、以来された情報がどの辺りで手に入るか、どの道から進入すれば、一番効率がいいか等。一方のミシャは実行担当。主にレナが分析した事を頼りに情報を得る。依頼主と直接会ってコンタクトをとるのもミシャの仕事。勿論、その際には変装しをして素顔は隠している。
仕事の話をしている二人に近づく影が一つ。
「ミシャ」
「ん?何、シャル?」
幻影旅団が一。シャルナーク。見た目は金髪で好青年。これは二人が始めてシャルナークを見た時の印象だった。今じゃ、それプラス『腹が黒い』ってつくけど、とミシャは胸中で呟いた。シャルナークは持っている紙を顔の横まで持っていき、一言。
「こんなの届いてたけど…」
言い終わるのと同時に紙をミシャに渡す。それを受け取り内容を読もうとした瞬間。ミシャの目に真っ先に飛び込んできたのは、無数のふざけた落書きだった。内容が読める程度には収められているものの、これは多過ぎではないか。というか、見つけた。今見つけた。落書きより先に気にしなければいけない注目ポイントを。
「…何、このふざけた紙は?」
「うん、すっごく解るその気持ち。でも読んでほしいのは内容の方なんだよね…」
そう。そうなのだ。確かにシャルナークの言った通り内容を読むのを優先しなければいけない。けれど、やはりこの無数のふざけた落書きと、しかも一番下に書かれた『By ネテロ』とかいう、これまたふざけたサインへの文句を一つ二つ言わなければ我慢がならない。だが、そこは大人になれ、と言い聞かせ我慢がならないが我慢我慢。
「…ハンター試験?」
怒りを抑えつけながら読んだ紙の内容。それは今年度のハンター試験への推薦用紙だった。予選は免除してやる、との事。そもそもハンター試験に推薦用紙なんていうものがあった事に驚きだ。こんなものが他の受験生達に知られれば贔屓だと言われ兼ねない。けれど、そんな事あるわけがない。ミシャが他の受験生達に紙を見せる等という行為はしないだろう。そもそも彼女の性格上、役目を終えたならばこんなふざけた紙を手元に置いておく筈がない。直ぐに燃やしてしまうだろう。
「そ。そのネテロって人、確かハンター協会の最高責任者じゃなかった?」
「いや、まあ、ね、そうだけどね。何で私が」
「情報屋マロンとしては持っておいた方が楽なんじゃない?少しは仕事も楽になると思うし」
確かに、半減とまでは行かなくとも少しは楽になるかもしれない。事実、ハンターしか入れない場所への侵入は結構骨が折れる。それを考慮すると取っておいて損はしないだろう。しかも今回は予選免除。受けてみようか。けれど、気がかりな事が一つ。
「(どうも裏がありそうなんだよねー…)」
あのネテロがわざわざ理由もなく予選免除をしてくれるだろうか。しかも今更ハンター試験への誘い。何か裏があると考えた方が普通だ。ネテロの噂は『食えないジジイ』だと何処へ行っても絶えない程だ。そしてそれにはミシャも大いに賛成である。本当に食えない奴なのだ、ネテロという人物は。
「どうする、ミシャ」
「んー……ハンター試験ねー…」
「ミシャ。あんたハンター試験受けるの?」
腕を組んで考えているミシャの後ろからまたも声を掛けてきた人物。幻影旅団が一。マチ。マチの後ろにはパクノダも居た。ミシャは二人に試験を受けるかどうか悩んでいると言うと、二人はいんじゃないか、と賛成の言葉を掛けてきた。
「二人から賛成の言葉も貰った事だし、ちょっくらハンター試験受けてきますかね」
「じゃ、団長の所に知らせに行く?」
「あら、シャル。団長ならレナを連れて何処かへ行ったわよ?」
「え?そうな、の……」
シャルナークはそう言ったパクノダの顔を見て固まった。笑っている。口元は笑っているが目が笑っていない。そしてそれはパクノダの隣に居るマチも同様。何を隠そう、この幻影旅団という集団の女性人は過保護なのだ。それもミシャとレナ限定に。それは男性人も同じ事なのだが女性人はそれを遥かに上回る。男性人が彼女等二人に手を出そうものなら、女性人が許さない。
「えーと……
パク、マチ。クロロのリンチは任せてOK?」
二人と同じ様な顔をしてなにやら危険な事を頼むミシャ。実は彼女も極度の過保護。レナ限定で。黒い笑みでクロロ抹殺計画もどきを計画している三人を見てシャルナークは冷や汗をかいた。
「あの、さ…ミシャ……団長にはオレから伝えとくよ…」
「あ、そう?じゃ、宜しくシャル」
そう言ってからミシャは一度大きく伸びをして、さて。そろそろ行きますかね、と言い三人にしばしの別れの言葉を言う。
「ミシャ、もし誰かにナンパなんかされたりしたら、そいつの顔と名前はしっかり覚えておくんだよ」
「(後でそいつ殺りにいくつもりだ…)」
「(一体何のために?)了解ー。て言ってもナンパなんてされないよ。ハンター試験だし」
「それから、襲われそうになったら、とりあえずその男は殺っておきなさい」
「(パク…それは幾らなんでも……)」
「や、だからね、二人とも。ハンター試験なんだしそんな事にはならn「「なる」」
シャルナークが女性人の言葉に胸中でツッコミを入れている傍らでミシャは女性人の気迫に負けつつ、解った、と言葉を発した。そんな光景をその空間内にいた他の団員は、今日も平和だ、と思っていたとかいなかったとか。兎にも角にも今日もまた、女性人達の過保護さが証明される瞬間だった。
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08.04.03 修正完了